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123. Belle II 実験 Aerogel RICH 用 読み出し回路の動作および量産試験 / Tetsuya Kobayashi ; Yosuke Yusa [BELLE2-MTHESIS-2021-063] Presented on 09 02 2016 MSc
2016
Niiata University / Niigata
素粒子物理学は物質を構成する基本粒子とその間に作用する力を研究対象とする物理学の一分野 である。標準模型の詳細な検証や、標準模型を超える新物理探索を目的として世界各地でさまざま な実験が行われている。その中で Belle 実験は 1999 年~2010 年に茨城県つくば市にある KEK(高 エネルギー加速器研究機構) において行われた電子・陽電子非対称衝突型加速器実験である。 円形加速器 KEKB によって B 中間子を大量に生成し、Belle 検出器を用いてその崩壊過程を精 密に測定することで CP 対称性の破れの検証を始め素粒子物理学における数多くの実験成果を上げ た。特に B 中間子系における CP 対称性の破れの観測は小林・益川理論を実験的に立証し、2008 年ノーベル物理学賞受賞への貢献を果たした。また、新粒子が寄与するような B 中間子稀崩壊過 程の研究なども行われたが、Belle 実験で得られた統計量では標準模型を超える物理事象の発見ま では至らず、いくつかの兆候を得るにとどまった。そこでより精密な測定を十分な統計量を用い て行うために Belle 実験の後継実験として Belle II 実験が計画された。 Belle II 実験では KEKB 加速器から SuperKEKB 加速器への高性能化と、Belle 検出器から Belle II 検出器への改良を行う。加速器アップグレードにより従来の 40 倍となるピークルミノシティを 実現し、最終的には Belle 実験の約 50 倍となる積分ルミノシティで標準模型を超えた新物理事象 の探索を行う。2017 年実験開始に向けて加速器及び検出器のアップグレードが進行している。 Belle II 検出器はさまざまな目的や役割をもつ検出器から構成された複合型検出器である。Aerogel Ring Imaging Cherenkov 検出器 (A-RICH) は Endcap と呼ばれる領域での粒子識別を行う検出器 であり、Belle II 実験から新たに導入される。A-RICH では B 中間子崩壊過程再構成において重 要な荷電 K 中間子と π 中間子を識別する役割を担い、Belle 実験では達成できなかった単一検出 器による広い運動量領域 0.5 GeV/c < p < 4.0 GeV/c での高い K/π 識別能力を目指す。その目標 を限られた検出器スペースで実現するため、リングイメージ型 Cherenkov 光検出器を採用した。 A-RICH は Cherenkov 光の輻射体であるシリカエアロゲルと 144 チャンネルピクセル型光検出器 Hybrid Avalanche Photo Detector (HAPD)、および専用の読み出し回路システムによって構成さ れる。 識別原理は、まず荷電粒子がエアロゲルを通過した際に放射状に発生する Cherenkov 光を HAPD によりリングイメージとして検出する。リング半径は粒子質量に相関があるためその半径差から 種類を判断できる。HAPD は 420 台使用されるため、検出器全体の信号読み出しチャンネル数は 合計 6 万チャンネルに及ぶ。そのため、読み出しシステムには多チャンネルの同時読み出しが可 能で、また微弱な Cherenkov 光の信号をもれなく捉えられるようにチャンネル毎の単光子検出を 実現する低雑音、高利得の信号処理回路が求められる。さらに読み出しシステムに与えられた設 置領域はわずか 50 mm であり、回路のサイズをコンパクトに抑えなければならない。それらの要 求を満たすために A-RICH グループでは Front-end board (FE board) と Merger board の 2 種類 の読み出し回路を独自に開発した。 FE board は HAPD 1 台に対して 1 台が接続され、集積回路である Application Specific Inte- grated Circuit (ASIC) と Field-Programmable Gate Array (FPGA) を搭載している。ASIC はア ナログ信号処理及び、ヒットデータの生成を行う。FPGA は ASIC の制御と後段の読み出し回路 へデータを転送する役割を担う。Merger board には 6 台の FE board が接続され、ヒットデータ の収集・圧縮と Belle II データ収集システムへの転送を行う。また、データ読み出しに必要なトリ ガー・クロック信号の供給や接続された FE board のコントロールなどの役割を担う。これら 2 種 類の読み出し回路は最終的な仕様が決定し、実機に使用される FE board 420 台、Merger board 72 台の量産および性能評価が行われる。 本論文では A-RICH 専用読み出し回路の量産およびその動作試験に関して報告する。 読み出しシステム動作確認として最終版 FE board、Merger board を用いたダミーデータ読み 出し試験を行う。Belle II 実験ではルミノシティの向上により物理事象が高レートで起きるため検 出器は Belle II トリガーシステムのレート耐性条件を満たし、データを読み出すことが要求され る。そこで想定される高レートトリガーを Merger board に入力し、データ読み出しを行うこと で A-RICH 読み出しシステムの性能が要求を満たしているか確認した。また、Merger board のス ローコントロールとデータ読み出し確認のために HAPD を接続し単光子検出を行った。 実機に使用される最終版 Merger board は 2015 年 12 月に量産が完了し、性能評価の必要があ る。そこで仕様確認のために回路動作確認用の検査システムを開発し、全 80 台の性能検査を行っ た。Merger board に搭載された各コンポーネントの動作テストを行い、実機に使用する 72 台の 選定を行う。 Belle II 実験では共通のデータ収集システムが使われ、その仕様に合わせた読み出し回路の動作 確認及び読み出しシステムの構築が必要である。そこで Belle II DAQ システムを用いた Merger board のスローコントロール、データ取得試験を行った。Merger board、FE board 1 台を利用し たデータ読み出しテストを行うとともに、FE board 複数台をつないだ際の読み出しエラー改善を 行うことで、Belle II 実験本番に向けた A-RICH DAQ システムの開発を行った。
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124. Belle II 実験用 粒子識別装置 Aerogel RICH における Cherenkov 放射角分布のバックグラウンド解析 / Ryosuke Kataura ; Yosuke Yusa [BELLE2-MTHESIS-2021-062] Presented on 09 02 2016 MSc
2016
Niigata University / Niigata
1999 年から 2010 年の間に茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構 (KEK) で行われてい た Belle 実験は電子・陽電子非対称エネルギー衝突型加速器実験である。本実験は KEKB 加速器 を用いて大量の B 中間子を生成し、その崩壊過程を Belle 検出器によって観測することで標準理 論の精密測定を行った。この測定により、小林・益川模型の証明に成功し、 また新たなハドロン 共鳴状態の発見など数々の成果を上げられた。一方で、未新物理の寄与を示す標準理論からのず れは有意な信号で観測されておらず、さらなる検証のためにはデータ統計量を増やす必要がある。 そこで KEKB 加速器を SuperKEKB 加速器、Belle 検出器を Belle II 検出器へアップグレード し、標準理論を超える新物理の探索を行う Belle II 実験が、2018 年 開始に向け準備が進められて いる。 Belle II 検出器は複数の副検出器から構成されており、そのうち荷電粒子の識別を行うものとし て我々は Aerogel RICH (ARICH) の開発を行っている。Belle 検出器で同様の役割を担っていた Aerogel Cherenkov Counter は空間的制約のため 2.0 GeV/c までの低運動量領域しか識別が行え なかった。検出器を高度化するにあたり、これまで識別できていなかった高運動量領域でも粒子 識別可能な検出器として ARICH を開発するに至った。 ARICH は荷電粒子が輻射体を通過することで放射される Cherenkov 光を光検出器によりリン グイメージとして観測し、ドリフトチェンバー等の他の検出器から得られる飛跡情報を併せて、粒 子質量に相関のある Cherenkov 放射角を算出し粒子識別を行う。ARICH の主な構成要素として、 輻射体であるシリカエアロゲル、半導体光検出器 Hybrid Avalanche Photo-Detector (HAPD)、 HAPD 専用読み出しシステムがある。HAPD は 5mm 程度の位置分解能をもち、1 光子検出が可能 である特徴をもつ。これらを用いて ARICH では主に荷電 K/π 中間子の識別を行い、0.5 GeV/c から 4.0 GeV/c の運動量領域に対して有意度 4σ 以上の識別精度を目標としている。 ARICH に使用する各構成要素はほぼ開発が終了しており、2013 年 5 月にドイツにある DESY 研究所のテストビームライン T24 にてプロトタイプ ARICH を用いた電子ビーム照射試験による 性能評価のためのビームテストを実施した。このセットアップに対して 5 GeV/c の電子ビームを 照射し、再構成により得られた Cherenkov 放射角分布から粒子識別能力を算出すると、目標であ る有意度 4σ 以上の識別能力があることを確認した。 一方でビームテストにより得られた Cherenkov 放射角分布にはバックグラウンド事象が含まれ ていた。バックグラウンド事象の一部は先行研究により調査されており発生原因も予測されてい るが、その分布について正確な理解はされていない。バックグラウンドの正確な理解は識別能力 向上に繋がると期待されるため、本研究では 2013 年に行われたビーム照射試験を Monte Carlo シミュレーションで再現し、測定データと比較することで Cherenkov 放射角のバックグラウンド 事象の検証を行った。 本論文では Cherenkov 放射角分布におけるバックグラウンド事象の検証結果と、特定された バックグラウンド事象について粒子識別尤度計算に用いる確率密度関数を報告する。
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125. シミュレーションを用いた Belle II 実験用 粒子識別装置Aerogel RICH の性能向上の研究 / Kazuya Ogawa ; Yosuke Yusa [BELLE2-MTHESIS-2021-061] Presented on 09 02 2016 MSc
2016
Niigata University / Niigata
現在の素粒子物理学の標準模型では説明できない現象が数多く存在しており, 素粒子の振る舞い を示す完全な理論ではないことを意味している。そこで, 現在知られている素粒子現象を精密に測 定することで, 素粒子のより高度な物理の理解を推し進める実験の 1 つが Belle II 実験である。 Belle II 実験は, 高エネルギー加速器研究機構 (KEK) で 2017 年開始予定の電子陽電子衝突型 加速器実験である。SuperKEKB 加速器を用いて電子と陽電子を加速, 衝突させることで生成し ̄ そこで, 広い運動量領域において高精度な K± 中間子と π± 中間子の識別を行う Aerogel Ring Imaging Cherenkov 検出器 (A-RICH) が考案され, 開発を我々のグループが行っている。A-RICH は輻射体であるエアロゲルと pixel 型半導体光検出器である Hybrid Avalanche Photo Detector (HAPD) の 2 つで構成されており, 実機は磁場中で使用されるため, 磁場中でも動作可能なもの を使用している。識別原理は, 荷電粒子がエアロゲルを通過する際に放出するチェレンコフ光を HAPD でリングイメージとして検出し, 光の放射角を測定することで粒子識別を行うというもの である。 本研究の目的は, A-RICH から π± 中間子と K± 中間子の識別能力を最大限引き出すことであ る。A-RICH に HAPD は 420 個使用されるが, HAPD は開発段階の為, 生産の歩留まりがあまり 良く無く, 性能に大きなばらつきが存在する。そこで, まず, 量産された HAPD に問題が無いか調 査し, 個体差を理解した上で, HAPD の性能の個体差を考慮した HAPD の配置の最適化を行い, 識別能力を最大限引き出すこと目指す。 最初に, 量産された HAPD の個々の性能について調査を行い, 各 HAPD のパラメータを測定 し, 良品の選定を行った。全数調査での測定内容は, 暗電流とノイズ量, レーザーを照射した際の 照射位置におけるヒット分布と総増幅率, ランプの光を HAPD の有効面積内に照射した際の量子 効率の 5 つである。浜松ホトニクスでもリーク電流値, ノイズ量, 総増幅率, 量子効率の測定が行 われており, 双方の測定結果を比較することで, 測定結果が信頼できるものか確かめた。 磁場中において HAPD の性能が変化することが先行研究から知られていたので, 磁場中での性 能を理解し A-RICH の粒子識別能力の向上に活かすために磁場中での測定も担当した。一部の HAPD で, 出力信号の中に信号とは関係ない巨大なパルスが出力することが判明した。このパル スの出力頻度は個々の HAPD ごとに大きく異なることが判明したので, 実環境で使用した際に問 題が無く動作するか調べる為に, 全 HAPD のパルスの出力頻度を確認した。 以上のように実際の実験環境における HAPD の性能を理解した上で, HAPD の選び方と並べ 方の判断基準を考える為に, シミュレーションを用いて粒子識別能力に最も影響がある HAPD の パラメータについて調査した。測定したパラメータの内, 粒子識別能力に直接影響を与える不良 pixel 数と量子効率を変化させシミュレーションを行った結果として, HAPD の量子効率が粒子識 別能力に大きく関係していることを明らかにした。 量子効率が粒子識別能力に最も影響を与えるパラメータということから全数調査によって得ら れた量子効率の分布を元に HAPD の配置パターンを用意し, シミュレーションの結果から識別能 力が最も高くなる配置パターンの傾向を決定した。 た B − B 中間子対の崩壊を Belle II 測定器で観測する。B 中間子の崩壊には終状態の K 中間 子を π 中間子と入れ替えた崩壊が多々存在するために (例: B → Kπ と B → ππ, B → DKππ と B → Dπππ), Belle II 実験において, π± 中間子と K± 中間子の識別は物理現象の精密測定に不可 欠なものの 1 つである。また, B 中間子の崩壊の終状態に表れる粒子の数によって, K/π 中間子 の持つ運動量も様々である。
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126. BelleII実験におけるSilicon Vertex Detector(SVD)製作に関する研究 / Yoshiaki Seino [BELLE2-MTHESIS-2021-060] Presented on 23 01 2015 MSc
2015
Niigata University / Niigata city
 本論文ではBelleII実験で使用するストリップ型崩壊点検出器である Silicon Vertex Detector(SVD)の最外層ラダー(L6)の製作に関する研究について述べる。  1999-2010年に日本の茨城県つくば市にある高エネルギー加速器研究機構(KEK)で電子・陽電子非対称衝突型加速器実験であるBelle実験が行われた。Belle実験では世界最高ルミノシティとなる2.1×10^{34}cm^{−2}s^{−1}を達成し、約10年の稼働期間で1000fb^{−1}を超える世界最大のデータを収集した。そしてこの高統計量のデータを用いて、多くの実験成果を上げてきた。特にB中間子の精密な寿命測定によるCP対称性の破れの証明は2008年にノーベル物理学賞を受賞した小林・益川理論の実験的根拠にもなった。またその高統計量のおかげで新粒子の発見も相次ぎ、中でも新種のハドロン共鳴状態(エキゾチックハドロン)と思われる粒子群の発見は 新たな学術領域を開拓しつつある。しかしその一方で素粒子標準理論を超えた新物理についての決定的な発見はなく、手がかりと見られる測定結果もいくつかあったがBelle実験の統計量をもってしても統計誤差が大きく判断は難しかった。そのため新物理の測定を可能とする圧倒的統計量のデータを収集するためにBelle実験の後継実験であるBelleII実験が提案された。  BelleII実験では加速器の高性能化とそれに対応した測定器の改良及び高度化でBelle実験の約40倍となる80×10^{34}cm^{−2}s^{−1}のルミノシティを実現し、最終的には約10年の稼働期間においてBelle実験の約50倍となるデータを蓄積する計画である。BelleII実験の稼働開始は2017年を予定しており、現在は加速器と各種測定器のアップグレード中である。その中でSVDはBelleII検出器において崩壊点検出を担う装置であり、本論文では日本を中心としたグループ(製作拠点:東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU))が担当している最外層のラダー(L6)の量産(予備を含め19本)に向けた研究について述べる。  量産したラダーの品質はBelleII実験における解析の精度を大きく左右する。実験で要求される品質のラダーを安定的に量産するためには高いワイヤーボンディングのYieldとセンサーの位置精度を保つ必要がある。そのため本研究では量産時において実現可能性が十分に担保された再現性の高い組み立て工程を研究し、確立した手法によって試作ラダーを製作した。そしてその試作ラダーにおいて要求される品質が達成できることを確認した。
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127. Development of Electrical Quality Assurance for Silicon Vertex Detector in Belle II experiment / Junya Sasaki ; Hiroaki Aihara [BELLE2-MTHESIS-2021-059] Presented on 02 02 2015 MSc
2015
University of Tokyo / Tokyo
Belle II experiment is the upgrade of Belle experiment. [...]
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128. Feasibility study of ghost hits reduction in Silicon Vertex Detector for Belle II experiment / Kun Wan ; Hiroaki Aihara [BELLE2-MTHESIS-2021-058] Presented on 21 07 2017 MSc
2017
University of Tokyo / Tokyo
Belle II experiment is a next generation B-factory that is aimed to study many excit- ing and intriguing topics in the research of New Physics, located in Tsukuba, Japan. [...]
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129. Development of proper-time resolution function for improved measurement of time evolution of B mesons in the Belle II experiment / Zhang Tingyu ; Hiroaki Aihara [BELLE2-MTHESIS-2021-057] Presented on 22 07 2020 MSc
2020
University of Tokyo / Tokyo
n the Standard Model, the single irreducible complex phase in the Cabibbo-Kobayashi- Maskawa (CKM) quark-mixing matrix causes the effects of Charge-Parity (CP) violation. [...]
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130. RICH検出器開発に向けた、HPDの性能試験と読出し回路の開発 / Takayuki Seki [BELLE2-MTHESIS-2021-056] Presented on 09 01 2004 MSc
2004
Tokyo Metropolitan University / Hachioji
今日、高エネルギー物理学では、標準理論のより詳細な検証、標準理論を越える物理 事象の観測を目標に、非加速器実験も含め数多くの実験が行われている。その中で、小 林・益川モデルの検証、CP 非対称の起源の探索を目標に1998 年に開始されたBelle 実験 は、現在まで様々な成果を上げ、標準理論をも越えるやも知れない事象の観測をするま でに至っている。Belle 実験は、電子・陽電子衝突型加速器KEKB を用いB 中間子・反 B 中間子対を大量に生成し、それらの崩壊事象を詳細に観測する事からCP 非対称性に 関する新しい結果を生み出している。これもひとえに世界最高クラスのルミノシティー L = 1034[cm¡2s¡1] を誇る加速器KEKB と、高精度なBelle 検出器を構成する検出器群が 実現できたからこそである。現在もなお、Belle 実験は更なる新しい事象の検出を目標に 稼動し続けており、2006 年まで続けられた後の計画として、加速器、検出器ともにアッ プグレードを行うことで、B 中間子を用いた加速器実験における更なる探求を目指した、 Super-KEKB という計画が立ち上がりつつある。Super-KEKB では、Belle 実験よりもハ イ・ルミノシティーな加速器、高精度な検出器をもって、”稀”な事象を余すことなく検 出することを目標としている。 現在、Belle 検出器にはK 中間子と¼ 中間子の識別用検出器として、閾値型エアロゲ ル・チェレンコフ・カウンター(以下、ACC) が導入されている。K=¼ 識別は”CP 対象性 の破れ”を測定するために、重要な要素となっている。閾値型であるためACC では、あ る運動量範囲において¼§ 中間子が輻射体中を通過した時のみチェレンコフ光が放射され ることで信号として検出され、同一運動量のK§ 中間子に対しててはチェレンコフ光が 放射されず信号が検出されない、ということからK=¼ 識別を行ってきた。現在は、信号 の大きさからチェレンコフ光の光量を見積もり、そこから”K 中間子らしさ”、”¼ 中間子 らしさ”という変数を求めることで、閾値型としてのACC よりも高効率なK=¼ 識別を実 現している。しかし、現状において、他の粒子とK 若しくは¼ 中間子との識別は全デー タ量の約90[%]、更にK=¼ 中間子間の識別は全データ量の約80[%] しか行えていない。そ して、K 若しくは¼ 中間子のどちらかであるK¼ の混合割合は約10[%] となる。 一般的に”稀”な事象を観測しようとする素粒子実験において、統計量を稼ぐためにも、 新たな事象の観測においても上記のようなデータの損失は可能な限り減らす必要がある。 そこで我々は、更なる粒子識別能力の向上を目指し現ACC に代わる新たな粒子識別検出 器として、TOP counter とRICH counter の研究・開発をSuper-KEKB 計画に向け行っ ている。その様な流れの中、私はそのRICH counter に関する研究・開発に携わってきた。 RICH counter とは、荷電粒子が薄い輻射体を通過した際、円錐状に放射されるチェレ ンコフ光の断面をリング・イメージとして捕らえることで、チェレンコフ光の放射角を測 定し、荷電粒子の速度を測定する、という検出器である。他の検出器より運動量を測定す ることで、質量を割り出すことができ荷電粒子を特定することが可能となる。リング・イ メージを捕らえる為に、RICH counter では位置分解能を有する光検出器が必要となる。 また、Belle 実験では、光検出器は磁場中で動作する必要があり、また、設置空間も狭く限 られている。そのため、RICH counter には”Proximity Forcusing RICH counter”を、光検 出器としてマルチ・チャンネルHybrid Photo Detector(HPD) 若しくはHybrid Avalanche Photo Detector(HAPD) を使用します。信号読み出しの為の回路としては、検出器にマウ ントされる読出し電子回路の増幅器として、一般的なJ-FET を用いた増幅器ではなく、 CMOS-FET を用いた集積回路によりRICH counter を実現しようと試みている。 そこで私は、RICH counter の研究・開発において、新しく開発した高性能の光検出器 HPD とHAPD の性能評価と、集積回路の設計・開発を行ってきた。HPD とHAPD の 評価においては、RICH counter に使用される予定の物は、144[channel] のHPD 若しく はHAPD だが、その前段階の試作品として開発された、Single channel HPD と、3 £ 3 channel HAPD の評価を行った。Single channel HPD に関しては、特に検出器としての 基本特性を調べ、3£ 3 channel HAPD に関しては、位置分解能を持つ光検出器としての 特性を調べた。また、光検出器の評価とは別に、読出し回路用の集積回路の設計を並行 して行い、第一作目の集積回路が、昨年4 月頃完成したので、回路の動作確認を行った。 これらの結果についてまとめ、また最終結論として、現状で実現できるであろうRICH counter 像について報告する。
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131. 144chマルチアノード型光検出器HAPDの性能評価 / Shungo Yamamoto [BELLE2-MTHESIS-2021-055] Presented on 31 03 2005 MSc
2005
Tokyo Metropolitan University / Hachioji
􀀀 実験は、高エネルギー加速器研究機構の電子陽電子非対称エネルギー衝突型円形加 速器(􀀀)によって􀀀 中間子を大量に生成し、􀀀 中間子の崩壊事象から標準モデルの 中の小林・益川理論によって説明される 対称性非保存の検証を行っている。􀀀 加 速器は高精度な加速器装置群からなり、世界最高のルミノシティー􀀀 􀀀􀀀􀀀 を 上げつつ、 年までの稼動が予定されている。その後、更なる新事象の検出を目標に、 􀀀 として稀有な確率の事象を検出しようとする計画が立ちあげられている。私たち はこの􀀀 での物理に対応するために􀀀 検出器の性能向上を目的として、検 出器の研究開発を行っている。􀀀 検出器の中で私が所属する 中間子識別グループ ( グループ)では、高い粒子識別能力をもった検出器によって貢献しようとしている。 現在の􀀀 検出器の 識別能力は 中間子( 中間子)の識別能力は で、 中間 子( 中間子)の混在する割合は 以下となっている。そこで、更なる粒子識別能力向上 を目標に􀀀 の グループではアップグレード検出器として、 ( ! "#)検出器を採用することを計画している。 検出器とは、粒子識別の対象となる荷電粒子が輻射体を通過する際に放射され る$ ! 光を位置分解能の備わっている光検出器によって測定し、光子の検出器上の 位置情報から$ ! 光の放射角を再構成し、荷電粒子の速度を求めるものである。こ のための 検出器は、輻射体としてシリカエアロゲルを採用し、「充分な有効面積 および位置分解能」を併せ持ち、且つ「 %& の磁場中で稼動」する光検出器を開発するこ とにした。このため、私たちは 検出器において高い透過率を有するシリカエアロ ゲル、新型のマルチアノード光検出器の研究開発を行っている。 この 用光検出器として、新型マルチアノード光検出器'() !"$ $# #"#* を浜松ホトニクス株式会社と共同開発している。この新型光検出器は、 真空管の中に!"$ フォトダイオード()を配置し、 のキャリアを信号と する新しい光検出器である。光電効果で発生した光電子を高電圧で加速しおよそ+ , の エネルギーを与える。この光電子が逆バイアス電圧で保持された に打ち込まれ、 光 電子の入射に対しておよそ の電子・正孔対(キャリア)が生成され、逆バイアス電圧 によってこのキャリアを信号として検出する。キャリアは!"$ 効果にっておよそ 倍され、 光子あたり 電子を信号としている。 私は 検出器の研究開発において、このマルチアノード型 の性能評価に 携わってきた。 は現在試作段階であるため、 台の でも 検出器と しての性能を評価できるようにしたい。そこで、小さな有効面積内に$ ! 光を集光 する"# 検出器を考案。この"# 検出器の性能をフラットパネル 型光検出器浜松ホトニクス、+% によって評価した。本論文ではこの"# の性能評価を交え、今回完成された -- "$ [...]
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132. 新型K/pi識別装置Proximity focusing型エアロジェルRICHの研究開発 / Yoshinobu Kozakai [BELLE2-MTHESIS-2021-054] Presented on 27 01 2005 MSc
2005
Nagoya University / Nagoya
􀀀 中間子系での 非保存現象を探る􀀀 ファクトリー実験では、希崩壊事象の検出や親􀀀 中間 子のフレーバー同定のために 中間子と􀀀 中間子を識別することが欠かせない。そこで、「エアロ ジェル」と呼ばれるチェレンコフ光を用いたリングイメージ型の􀀀 識別装置の開発研究 を行った。 現在開発中のエアロジェル は 􀀀 ファクトリー実験での使用を想定して 型のジオメトリを採用しており、検出器はチェレンコフ光の輻射体であるシリカエアロ ジェルと位置分解能を持つ光検出器から構成される。運動量 の􀀀 両中間子を 以上 で分離できる検出器を実用段階まで開発することが研究の目的であるが、 を採 用することに伴う原理的な問題が粒子識別能力向上を妨げる原因となっていた。 検出器において粒子識別の能力を向上させるにはチェレンコフ放出角の決定精度、すなわ ち角度分解能を向上させる必要がある。そのためには薄い輻射体を使用してチェレンコフ光発生点 の不定性を抑えなければならない のエアロジェルを用いた場合、角度分解能 。これ は、検出光子数を増加させるために厚い輻射体を使用することができないことを意味しており、大 光量を容易に得ることができない。これまでの開発研究ではエアロジェルの透明度、光検出器の有 効面積を改善し、検出光子数を約! 個にまで増やしてきた。しかし、 の問題の 根本的な解決には至っていなかった。 本稿では、この の問題点を解決するために「デュアルラディエーター」とい う方法の議論を行った。これは、屈折率の異なるエアロジェルを二重に用いることにより、良い角 度分解能を保ったまま輻射体を厚くして光量を増加させてトータルの の性能を上げるとい うアイデアである。これは製作段階で屈折率をある程度調節してサンプルを作ることができるとい うエアロジェルの特徴を生かしたアイデアであり、輻射体にエアロジェルを用いている検出器のみ が実現可能である。また、「デュアルラディエーター」の拡張としてさらに輻射体を多層化するこ とも考えることができる。本稿ではこれを「マルチラディエーター」と呼ぶ。 デュアルラディエーターの原理が実機で予想道理に動作するか検証するため、プロトタイプを 用いたビームテストを " 􀀀 と#ビームラインにて行った。その結果、角度分解能を損な うことなく検出光子数を増加させるという期待道理の動作を確認することができ、デュアルラディ エーターの導入で従来より検出光子数は$% 増加させて&'! 個を得ることができた。さらに、マ ルチラディエーターの導入することによって角度分解能も向上させることに成功し、 の運 動量領域において􀀀 を約('$ で分離することが可能な検出器の実現に成功した。 本論文は、 型エアロジェル の問題点を解決する「デュアル、マルチラ ディエーター」の構想、そのビームテストによる検証についてまとめたものである。
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