Thesis BELLE2-MTHESIS-2021-025

Belle II 実験ARICH 検出器アップグレードのための 信号読み出し集積回路の開発

Masato Tsurufuji ; Hidekazu Kakuno

2021
Tokyo Metropolitan University Hachioji

Abstract: 現在の素粒子物理学において,標準模型はニュートリノの振動現象を除いてこれまでに観測され たあらゆる素粒子実験の結果を矛盾なく説明する強力な理論である。しかしながら標準模型には重 力が含まれておらず、また階層性の問題や、暗黒物質の候補となる粒子が存在しない、などといっ た不十分な側面がある。 Belle II 実験は、茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構(KEK)で行われている、標準 模型を超える新物理を探索することを目的としたB ファクトリー実験である。KEK 構内に設置さ れている電子・陽電子衝突型加速器SuperKEKB により、電子7 GeV と陽電子4 GeV を衝突さ せることでB 中間子対を大量に生成し、その崩壊過程に含まれるごく稀な事象を観測することで 新しい物理現象を見つけようとしている。 同実験における測定器であるBelle II 測定器は、電子・陽電子ビームの衝突点に設置され、役割 によって最適な動作原理を持った7 つの装置を組合わせた複合型検出器である。Belle II 測定器で 測定するのは崩壊により生成された安定粒子であり、主に電子、μ 粒子、π 粒子、K 粒子、陽子と いった荷電粒子を識別できる。 Belle II 測定器に搭載されている検出器の一つであるAerogel Ring Imaging Cherenkov counter (ARICH)は、Belle II 測定器の前方エンドキャップ部において、主に荷電π/K 中間子の粒子識 別という役割を担っている。ARICH は輻射体シリカエアロゲルと光検出器Hybrid Avalanche Photo Detector (HAPD) の2 層構造で、荷電粒子がシリカエアロゲル内を通過する際に円錐状に 発生するチェレンコフ光を、HAPD で2 次元のリングイメージとして観測し、その測定したリン グの半径から放射角を導出することで荷電π/K 中間子の識別が可能となる。現在、このARICH はアップグレードが計画されており、HAPD に代わる新たな光検出器としてMPPC(Multi-Pixel Photon Counter)の使用が検討されている。それに伴い、光検出器からの信号を読み出す回路に ついても新たなシステムの開発が必要となった。 本研究では、新たにARICH のためのMPPC 用信号読み出しASIC のプロトタイプである TF01A64 を開発した。TF01A64 はMPPC64 チャンネルの信号読み出しが可能で、基本回路構成 として増幅器-波形整形器-増幅器-オフセット調整回路-比較器を持つ。開発においてはT-Spice と 呼ばれる回路シミュレーターを用いて、回路特性や回路雑音の評価、高レート下における応答能力 の見積もりなどを行った。また、本研究ではこのTF01A64 チップの性能評価のためのテストボー ドを作成し、TF01A64 回路の機能として搭載されているテストパルスを用いた動作確認を行った。 この確認により、各種パラメーターの設定、増幅率調整やオフセット調整などについての正常な動 作を確かめることができた。

Note: Presented on 26 01 2021
Note: MSc

The record appears in these collections:
Books, Theses & Reports > Theses > Masters Theses

 Record created 2021-06-28, last modified 2021-06-28


Fulltext:
Download fulltext
PDF

Rate this document:

Rate this document:
1
2
3
 
(Not yet reviewed)