Masters Theses

Masters Theses 252 records found  beginprevious133 - 142nextend  jump to record: Search took 0.00 seconds. 
133. Belle 実験におけるPID検出器のアップグレードの為のエアロゲルRICHに用いる2 層一体型エアロゲル輻射体の研究開発 / Shinzo Otake [BELLE2-MTHESIS-2021-053] Presented on 11 03 2005 MSc
2005
Chiba University / Chiba
2001 年7 月にBelle実験の大きな目的の一つであった。B中間子のB0 → J/ψKS、B¯0 → J/ψ KS の崩壊において、間接的ではあるがCP 対称性の破れがあることがわかった ことがローマで開催された高エネルギー学の国際会議で報告された。また、2004 年1 月 にはB0 → π+π−、B¯0 → π+π− の崩壊において直接的なCP 対称性の破れがある事が わかった。 これらから、標準理論の中でのCP 対称性の破れを予言している小林-益川理論のた また、より詳細な小林-益川理論を確立するだけでなく、新しい物理を見つける為にも より高いルミノシティーを獲得し、またそれを検出できるだけの性能を持つ検出器が要 求されてくる。 Belle 実験ではより高いルミノシティーを目指しKEKB 加速器をアップフレードが計 画されており、それと同じくBelle ディテクターもアップグレード計画がある。そのサブ ディテクターグループであるACC では現行の閾値型のエアロゲルチェレンコフカウン ターから一部分をproximity focusing リングイメージ型チェレンコフカウンターに変更 し、より広い運動量領域での粒子の識別を可能にする予定である。また、その際、輻射体 であるシリカエアロゲルを屈折率の違う2 枚(デュアル・ラディエーター) 若しくはそれ 以上の枚数のシリカエアロゲル(マルチ・ラディエーター) を用いることでリングイメー ジをfocus、defocus する事で検出光子数を落とさずに角度分解能を上げられる事が、今 まで行われてきたビームテストで確認された。更に、そのデュアル・ラディエーターや マルチ・ラディエーターをシリカエアロゲルの製作の段階で一体化させてしまう事で表 面の数の減少から表面散乱の軽減が期待できる。本論文では、そのproximity focusing リングイメージ型チェレンコフカウンターの輻射体であるシリカエアロゲルを違う屈折 率を持つエアロゲルをその製作の段階で一体化させてしまうことで輻射体としての性能 の変化をみてみたので、その結果について報告する。 第1 章では、Belle 実験について、CP 対称性の破れとB ファクトリー、Belle 検出器 について、最近の結果を踏まえて述べる。 第2 章では、第1 章で説明したBelle 検出器の1 つであるシリカエアロゲルチェレン コフカウンター(ACC) について述べる。また、現在のBelle 検出器の閾値型シリカエア ロゲルと2006 年のBelle 検出器をアップグレードする時に採用を予定しているリングイ メージ型チェレンコフカウンター(RICH) について。 第3 章では、チェレンコフカウンターの輻射体として用いられているシリカエアロゲ ルについて述べる。この章では本論文で、研究した2 層一体型エアロゲル 第4 章では、製作した2 層一体型エアロゲルの性能を透過長、屈折率を 第5 章では、結論を述べる。
Fulltext: Download fulltextPDF;
134. 新型高性能光検出器(HAPD)読み出しのためのASICの開発 / Takashi Nakagawa [BELLE2-MTHESIS-2021-052] Presented on 31 03 2006 MSc
2006
Tokyo Metropolitan University / Hachioji
B 中間子を用いCP 非保存現象を研究するBelle 実験では、B 中間子崩 壊から生ずるK 中間子とπ 中間子の識別が必要不可欠である。現在私が 属するBelle 実験サブグループであるACC (Aerogel Chrenkov Counter) グループでは、エアロジェルを用いた閾値型の光検出器を用いて高運動 量領域でのK 中間子とπ 中間子の識別を担当している。現在のBelle 測 定器におけるK/π 識別は他の測定器と情報を併せ、全事象を90 %以上の 確率でπ 中間子とK 中間子の分離が達成されている。しかし超対称性粒 子の様常等の新事象の検出には希崩壊現象の検出が不可欠であり、より 高い粒子識別能力が求められる。そこで、更なる粒子識別能力向上を目 標にACCグループでは検出器のアップグレードとしてA-RICH(Aerogel Ring Image Chrenkov Counter)検出器を採用することを計画している。 A-RICH 検出器は荷電粒子が輻射体であるエアロゲルを通過する際に 円錐状に放射されるChrenkov 光を位置分解能を持つ光検出器によって捉 え、検出器上の位置情報からChrenkov 光の放出角を再構成することで、 粒子識別を行うものである。A-RICH に使用される光検出器として「十分 な有効面積」「高い検出効率」「位置分解能」そしてBelle 検出器内に設置 するため「1.5 T の磁場中で動作可能」という条件が求められる。これら を満たすものは現在市販されているの光検出器では難しい。そこで我々 は高い透過率を有するエアロゲルの開発と平行し、新型光検出器の研究 開発を行っている。 我々は要求を満たす光検出器として、(株)浜松ホトニクスと共同で、 HAPD(Hybrid Avalanche Photo Detecter)と呼ばれる新形マルチアノー ド光検出器を共同開発している。現在試作されているHAPDは72×72mm2 (有効エリア59 × 59mm2 )の大きさを持ち12 × 12 のarray に分離され ている。そして1 台につき144 channels の出力を持ち、1 つの出力あたり 約80pF の検出器容量を持っている。 またBelle 検出器に設置される予定のA-RICH全体ではHAPD(144ch/HAPD) を700 台用いる。このとき信号読み出しは約10 万Channel となる。そこ でこれらの膨大な信号を処理するシステムが必要となってくる。このた め我々はHAPD 処理用の集積回路を開発した。 本論文では試作されたHAPD の評価及び、HAPD からの信号処理用集積 回路(ASIC:S03)の試作経緯と性能評価に関して報告する。
Fulltext: Download fulltextPDF;
135. シリカエアロゲルを用いたリングイメージチェレンコフカウンターの開発 / Atsushi Kuratani [BELLE2-MTHESIS-2021-051] Presented on 23 02 2007 MSc
2007
Chiba University / Chiba
高エネルギー加速器研究機構で行なわれているBelle 実験では、e+e¡ 衝突型加速器(KEKB) を用いてB 粒子を発生させ、その崩壊課程を詳しく観測することで、CP 対称性の非保存 に伴う小林・益川理論の検証や新しい物理法則の発見を目的している。この実験ではB 粒 子の崩壊課程に発生した大量の粒子を正確に識別する必要があり、中でも崩壊課程で生ず るπ/K 粒子を識別することはB 粒子観測の上でも重要であるる。 現在Belle 検出器のアップグレードの為に研究しているπ/K 粒子識別検出器・近接型エ アロゲルRICH(リングイメージングチェレンコフカウンター)は、荷電粒子がエアロゲ ル輻射体を通過することによって発生するチェレンコフ光を光検出器で直接観測し、その リングイメージを解析することで、通過粒子の識別をしており、4.0GeV/c といった高い 運動量の¼/K 粒子に対して4¾ 以上の分解能力を有する事が期待されている。 この検出器の輻射体であるエアロゲルの条件として、屈折率1.05 のサンプルの透明度 向上について、2004 年以来エアロゲルの新しい作成方法を導入し、更に製作条件の最適化 から、従来と比べ、二倍以上の光学的性質の向上に成功した。 また、この成功によって、輻射体エアロゲルの屈折率を調節し、それらを重ねて並べる ことでRICH 検出器の性能であるチェレンコフ角度分解能を悪化させることなく、得られ るチェレンコフ光を増加させることが可能になった。新たに製作したエアロゲルを用いプ ロトタイプを製作し、2005 年12 月のビームテストを実施し、我々のRICH 検出器が運動 量4.0GeV/c で5¾ 以上の¼-K 識別能力があることを示すと同時に、輻射体の詳細な最適 化についての試験を実施した。 本論文では上記で述べたエアロゲル製作の開発と、得られたエアロゲルを用いたビーム テストの詳細な結果を報告する。 更に、今後のRICH 検出器研究についての展望を述べる。
Fulltext: Download fulltextPDF;
136. リングイメージ型チェレンコフ検出器のための電子回路の開発とその性能評価 / Yasuo Ueki [BELLE2-MTHESIS-2021-050] Presented on 31 03 2009 MSc
2009
Tokyo Metropolitan University / Hachioji
今日、高エネルギー物理学では素粒子物理学の標準理論(以降では標準理論と呼ぶ)の検 証、標準理論を越える物理事象の観測を目標に様々な実験が行われている。その中でB 中 間子系でのCP 非保存現象を研究するBelle 実験が1999 年より開始された。Belle 実験で は、非対称エネルギー電子・陽電子衝突型加速器(KEKB) を用いて、B 中間子・反B 中間 子対を大量に生成し、それらの崩壊事象を詳細に観測することによりCP 非対称性に関す る新しい結果を得ている。 Belle 実験では希崩壊事象の検出や崩壊前のB 中間子のフレーバー同定のために、K 中間子とπ中間子の粒子識別が欠かせない。現在Belle 検出器ではK/π中間子の識別を CDC(中央飛跡検出器)、TOF(飛行時間測定器)、ACC(シリカエアロジェル・チェレ ンコフ・カウンター)で行っている。このうちACC では高運動量領域におけるK/π中間 子識別を、それら粒子が輻射体であるエアロゲル通過した際に放射するチェレンコフ光の 発生の有無により実現している。しかし現在のBelle 検出器のendcap 部においては、そ の空間的制約からACC とTOF を同時に搭載することが困難であるため、ACC のみを搭 載している。そのためendcap 部においては高運動量領域でのK/π中間子識別が行えて いない。しかしデータの蓄積により新事象を含む希崩壊現象を検出するには、統計量を稼 ぐことが必要であり、そのためにはさらなるendcap 部での粒子識別能力の向上が求めら れる。そこでendcap 部での粒子識別能力向上に向けて、現在ACC のアップグレードと してA-RICH 検出器(Aerogel-Ring Imaging CHerenkov Counter)の開発、導入を進 めている。 A-RICH 検出器は荷電粒子が輻射体であるエアロゲルを通過した際に円錐状に放射さ れるチェレンコフ光を光検出器によって捉え、チェレンコフ光の放出角を再構成しその荷 電粒子の速度を測定し、その速度と他の検出器から得られた運動量の情報から質量を割り 出し粒子識別を行う。このA-RICH 検出器の構成要素である光検出器に要求されるのは、 「十分な有効面積」「高い検出効率」「位置分解能」「1.5T の磁場中での動作」という条件で ある。我々はこれらの要求を満たす光検出器として(株)浜松ホトニクスと共同で新型マ ルチアノード型光検出器であるHAPD(Hybrid Avalanche Photo Diode)を研究・開 発している。現在試作されているHAPD は144ch の読み出しをもつものである。 Belle 検出器に設置されるA-RICH 検出器全体では144ch のHAPD を約600 台用い る予定であり、このときの信号読み出しは10 万チャンネル以上となる。そこで膨大な量 になる配線を抑え、多チャンネルに対応し、低ノイズで高利得な読み出しのできるシステ ムが必要となってくる。そのため我々はHAPD 信号処理用の集積回路(ASIC)を開発し ている。 本論文ではA-RICH 検出器の研究・開発において、読み出し電子回路として開発された ASIC「S シリーズ」の改良版であるSA01 についての試作経緯と性能評価、また2008 年 にKEK 内のFuji test beamline の電子ビームを用いて行われた、プロトタイプA-RICH 検出器のbeamtest の概要とその結果、今後の課題を報告する。
Fulltext: Download fulltextPDF;
137. Aerogel-RICH 検出器に向けたマルチアノード型光検出器:HAPD の開発 (Development of multi-anode photon detector for Aerogel-RICH Counter) / Yuichi Miyazawa [BELLE2-MTHESIS-2021-049] Presented on 21 02 2008 MSc
2008
Tokyo Univ. of Science / Noda
今日、高エネルギー物理学では標準理論のより詳細な検証、標準理論を超える物理事象 の観測を目標に、数多くの実験が行われている。その中で、小林・益川モデルの検証、CP 非対称の起源の探索を目標に1998 年にBelle 実験が開始された。Belle 実験は、電子・陽 電子衝突型加速器(KEKB) を用いて、B 中間子・反B 中間子対を大量に生成し、それらの 崩壊事象を詳細に観測することからCP 非対称性に関する新しい結果を生み出している。 現在、Belle 検出器ではK/π 中間子の識別をCDC , TOF , ACC で行っている。K/π 中 間子識別は“CP 対称性の破れ”を測定するために重要な要素となっている。このうち ACC では、ある運動量範囲においてπ 中間子が輻射体中を通過した時のみチェレンコフ 光が放射され信号として読み出され、同一運動量のK 中間子に対してはチェレンコフ光 が放射されないため信号が検出されないという検出原理により、barrel 部においては高運 動量領域のK/π 識別を主体的に行ってきた。しかし、現在のBelle 検出器のendcap 部に おいては、空間的制約からTOF とACC を同時に搭載することが困難であるため、ACC のみを搭載している。そのため、barrel 部においてTOF が主体的に行っている比較的低 運動量の粒子識別であるB 中間子のフレーバータギングを、endcap 部では単一屈折率を 持つエアロジェルを用いたACC により行っている。そのため、endcap 部では高運動量を 持つK/π 中間子に対して識別が行えていないのが現状である。一般的に、“稀”な事象を 観測しようとする素粒子実験において、統計量を稼ぐためにも、新たな事象の観測におい ても上で述べたような識別不可能な粒子があることは非常に問題となってくる。そこで、 endcap 部での粒子識別能力向上に向けて、現在ACC のアップグレードとしてA-RICH 検出器(Aerogel-Ring Imaging Cherenkov Counter) を導入することを計画している。 A-RICH 検出器は荷電粒子が輻射体であるエアロゲルを通過する際に円錐状に放射され るチェレンコフ光を位置分解能を持つ光検出器によって捉え、検出器上の位置情報から チェレンコフ光の放出角を再構成することで粒子識別を行うものである。光検出器に要求 されるのは「十分な有効面積」「高い検出効率」「位置分解能」、そしてBelle 検出器内に 設置するため「1.5T の磁場中で動作可能」という条件である。これらを満たすことは現 在市販されている光検出器では難しいため、我々はこれらの要求を満たす新型光検出器 として、(株)浜松ホトニクスと共同でHAPD(Hybrid Avalanche Photo Diode)と呼ばれ る新型マルチアノード型光検出器を研究・開発している。現在試作されているHAPD は 144ch の読み出しを持つものである。 また、Belle 検出器に設置されるA-RICH 検出器全体では144ch のHAPD を約600 台 用いる予定である。このとき信号の読み出しは約10 万チャンネルとなる。そこで、これ らの膨大な信号を処理するシステムが必要となってくるため、我々はHAPD 信号処理用 の集積回路(ASIC) も開発している。 本論文では、2007 年に製作され、初めて安定して動作している2 つの144ch HAPD に ついてAPD のふるまい、1 光電子応答性等の性能評価を行った。これによりAPD chip の 個体差がほとんどなく安定して動作しており、どちらのサンプルにおいても1 光電子信号 が観測可能であることが確認された。また、2006 年冬に製作されたASIC の最新version であるASIC-S04 の性能評価を行い、基本的な信号処理と、以前のversion であるS03 で見られた問題点が改善されていることが確認された。さらに、A-RICH 検出器に向け て、これらを組み合わせて読み出し系全体としての動作試験を行い、初めてASIC により HAPD による1 光電子信号が観測された結果等も報告する。
Fulltext: Download fulltextPDF;
138. Belle II実験の為のAerogel RICH検出器用読み出し電子回路の開発 / Eiryo Kuroda [BELLE2-MTHESIS-2021-048] Presented on 31 03 2010 MSc
2010
Tokyo Metropolitan University / Hachioji
Belle 実験はB 中間子におけるCP 対称性の破れを観測し、小林・益川理論の検 証を行なう事を目的として1999 年より開始された実験である。Belle 実験では、電 子・陽電子衝突型加速器KEKBを用いてB中間子・反B中間子対を大量に生成し、 それらの崩壊事象をBelle 測定器によって詳細に観測する事でCP 対称性の破れの 検証や新しい共鳴状態の発見等、数々の成果を挙げてきた。これらの結果には標 準モデルを超えた新しい物理を示唆する結果も含まれているが、新しい物理の証 拠と言える程の精度での結果には至っていない。この新しい物理を示唆する結果 の更なる検証、新しい物理を含む崩壊事象を観測する為にBelle 実験の後継実験と してBelle II 実験が計画されている。Belle II 実験ではBelle 実験よりも更に高い ルミノシティの加速器SuperKEKB と更に高精度なBelle II 測定器を用いて新しい 物理を含む稀少な事象を余す事なく検出する事を目標としており、そのために検 出器・加速器のアップグレードが進行している。 Belle 実験、Belle II 実験では稀崩壊事象の検出や崩壊前のB 中間子のフレー バーの同定の為に、K 中間子とπ中間子の粒子識別が欠かせない。Belle 実験では K/π粒子識別をCDC(Central Drift Chamber)、TOF(Time-Of-Flight Counter)、 ACC(Aerogel Cherenkov Counter) で行なっている。この内、ACC は高運動量領 域でのK/π粒子識別を担っているが、Belle 測定器のendcap 部においては、空間 的制約により低運動量領域でのK/π粒子識別を担っているTOF の搭載が困難で あった為、ACC のみで比較的低い運動量領域でのK/π粒子識別を行なっている。 しかし、Belle II 実験で新事象を含む稀崩壊事象を検出する為には、統計量を稼ぐ 必要があり、endcap 部でも高運動量領域のK/π粒子識別を行なう事が求められ る。そこで、endcap 部での粒子識別能力向上に向けて、新たなK/π粒子識別検出 器としてAerogel RICH(Ring Imaging Cherenkov Counter) 検出器の導入を計画し ており、開発を進めている。 Aerogel RICH 検出器は、荷電粒子が輻射体であるaerogel を通過する際に発生 するチェレンコフ光を光検出器でリング状に検出し、チェレンコフ光の放射角を 再構成し荷電粒子の速度を導出する。この速度情報と他の検出器で得られる運動 量情報からK/π粒子識別を行なう。このため、Aerogel RICH 検出器に用いられ る光検出器は1 光子程度であるチェレンコフ光を検出可能で、十分な位置分解能・ 有効面積を持っている事が求められる。我々はこれらの要求を満たす光検出器と して144 チャンネルのHAPD(Hybrid Avalanche Photo Detector) を(株) 浜松ホト ニクスと共同で開発している。 HAPD は一般的な光電子増倍管と比較すると増幅率が低く、読み出しには高利 得・低雑音の増幅器が必要となる。また、Belle II 測定器にインストールする際に は約500 台のHAPD を使用する為、計7 万チャンネルに及ぶ信号を同時に読み出 す事が可能な読み出し電子回路が必要である。そのため、144 チャンネルHAPD の信号読み出し電子回路をASIC(Application Specific Integrated Circuit) として 開発している。また、柔軟な読み出しを可能にし、Belle II のデータ収集システ ムの対応できるようにする為に、ASIC からのデジタル信号の処理をFPGA(Field Programmable Gate Array) で行なう事を計画している。 本論文では、Aerogel RICH 検出器の読み出し回路として開発されたASIC の 「SA-series」のSA01 とFPGA を用いた読み出しシステムの動作検証とチャンネル 数を増やした新ASIC のSA02 の性能評価について記述する。また、Aerogel RICH 検出器の性能評価として2009 年11 月に行なったプロトタイプAerogel RICH 検出 器のビーム照射実験の結果についても述べる。 ii
Fulltext: Download fulltextPDF;
139. エアロジェルRICHのためのマルチアノード型HAPD光検出器の開発研究 / Susumu Shiizuka [BELLE2-MTHESIS-2021-047] Presented on 21 01 2020 MSc
2020
Nagoya University / Nagoya
高エネルギー加速器研究機構で行われている􀀀 ファクトリー実験では、加速器のビーム強度を現在 の 倍に増加するアップグレードが計画されている。このアップグレードに伴い、高精度の􀀀 粒子識別装置の改善を目指し、前方エンドキャップに設置された閾値型 を にアップグレードすることが計画さ れている。これは 光を発生させる輻射体と、光検出器から構成される。 は光の検出位置から 放出角度の再構成を行い、􀀀 の識別を行う。 を 用いることで􀀀 までの高運動量領域で􀀀 識別能力􀀀 を目指す。光検出器には以下のよ うな性能が必要とされる。 ・1光子検出能力 ・ 位置分解能 ・ 磁場耐性 ・広い有効面積 ・放射線耐性 これらの要請を満たす光検出器として我々は !"#!# の開発 研究を行っている。!# は真空管と半導体検出器 ! # !# を組み合わせ た構造を有し、位置検出のために$% の!# を使用している。しかし、 位置分解能や 磁場耐性、放射線耐性といった問題が未だに評価されていなかった。 私は!# の磁場耐性、位置分解能、放射線耐性の評価を行い、!# を用いた の􀀀 & による性能評価を実施した。 電磁石を用いた実験により!# の磁場耐性が確認された。さらに磁場下では全ての$% で 位置分解能を達成した。 放射線耐性に関して、􀀀 では 年間に􀀀􀀀􀀀 の照射を想定しており、 年 分までの中性子量を原子炉を用いて照射した。その結果、' 年分の放射線耐性を確認した。しかし、 年分では()* の悪化から検出効率が+以下に低下した。これらの結果から中性子による性能 悪化が読み出し回路や!# の構造の最適化によって改善される方法を考案することができた。実 際に()* が, から- 以上に改善することを確認した。 本研究により!# が に適した光検出器であると結論する。
Fulltext: Download fulltextPDF;
140. Belle II実験用新型粒子識別装置Aerogel RICHの開発 / Shuichi Iwata [BELLE2-MTHESIS-2021-046] Presented on 07 01 2011 MSc
2011
Tokyo Metropolitan University / Hachioji
高エネルギー加速器研究機構で行われてきたBelle 実験は,電子・陽電子非対称エネルギー衝突 型加速器KEKB によって大量のB 中間子対を生成し,その崩壊過程をBelle 測定器によって精密 に観測することにより,B 中間子系でのCP 対称性の破れの存在を証明することが主な目的であっ た。同実験は2010 年6 月をもって加速器と測定器の運転を終了し,約11 年間の実験を終えた。そ してBelle 実験の後継実験として,標準模型を超えた新しい物理の探索を最大の目的としたBelle II 実験計画が,2014 年開始を目標に進められている。 CP 対称性の破れを説明するKobayashi-Maskawa 模型の検証など,Belle 実験によって標準模 型の有効性は確かめられたが,ヒッグス粒子が未発見であることや階層性の問題,実験で決めなけ ればならないパラメータが非常に多いなど,幾つかの問題を抱えている。これに答えるには,標 準模型の枠組みだけでは難しく,超対称性理論や余剰次元など多くの模型が提唱されているが,ど れも仮説の域を超えないのが現状である。 Belle II 実験は,これらの模型に対し実験的制限を与えることにより,新しい物理を見つけ出す ヒントを得ようとしている。新しい物理の効果は,B 中間子系のような低エネルギーでの実験で は標準模型からの“ ずれ”として観測される。したがって新しい物理を明確に観測するには,標準 模型によって十分理解できる物理過程をより精密に観測することや,非常に稀にしか起こらない ような事象の観測が求められることになる。Belle 実験よりさらに精密な測定かつ十分な統計量が 得られるように,KEKB 加速器/Belle 測定器をSuper KEKB 加速器/Belle II 測定器へとアッフ グレードする計画が進められており,より高精度の測定器の開発が行われている。 Belle II 測定器はBelle 測定器と同様に,目的,用途別にいくつかの副検出器からなる複合体であ る。この中で生成荷電粒子(主にπ 中間子とK 中間子) の識別を行う重要な副検出器として,我々 のグループではAerogel Ring Imaging Cherenkov 検出器(A-RICH) の開発を進めている。Belle 測定器において同様の役割を担っていたAerogel Cherenkov Counter は,Endcap 部と呼ばれる 領域での識別可能運動量を,空間的制約のため2 GeV/c までに限定していた。Belle II 実験では Endcap 部でも稀崩壊の観測を可能とするため,これまで識別出来ていなかった高運動量領域でも 識別可能な新型粒子識別装置として,A-RICH を開発することとなった。 A-RICH の目標性能は,4 GeV/c までの運動量領域で4σ 以上のK/π 分離能力を達成すること である。A-RICH の主要構成要素としては,半導体光測定器Hybrid Avalanche Photo-Detector (HAPD),輻射体としてのシリカエアロゲル,そしてHAPD 専用読み出し電子回路システムがあ る。読み出し電子回路システムはアナログ信号処理用としてASIC,デジタル信号処理用として FPGA の2 種類のIC によって構成されている。本研究において,この読み出しシステムが最終版 として十分な性能をほぼ達成できていることが検証された。
Fulltext: Download fulltextPDF;
141. Belle IIエアロジェルRICHの実機へ向けた光検出器HAPDの性能改善と最終評価 / Miki Imamura [BELLE2-MTHESIS-2021-045] Presented on 24 01 2011 MSc
2011
Nagoya University / Nagoya
現在の素粒子物理学における喫緊の課題である新しい物理を含む崩壊事象の観測を目指し、 2014 年からBelleII 実験を開始する。本実験は高エネルギー加速器研究機構の電子・陽電子衝 突型加速器を用いて、B 中間子の稀崩壊事象の検出を行う。そこで非常に重要であるK/π粒 子識別を行うため、BelleII 検出器の前方Endcap 部分には、粒子識別装置であるエアロジェ ルRing Imaging Cherenkov(RICH) 検出器を実装する。RICH は、輻射体であるエアロゲル 内で放射されたチェレンコフ光を光検出器Hybrid Avalanche Photo Detector(HAPD) で再 構成して捉え粒子識別を行う。 RICH の粒子識別能力はHAPD の性能に大きく依存する。HAPD は真空管と半導体検出 器APD を合わせた構造をもつ。本論文では、実装に際して残された2 つの課題を具体化し 検証した。 第一の課題は、面全体に亘り十分な量子効率をもつHAPD の製作である。2011 年6 月に HAPD の大量生産を予定しており、量子効率の一様性を評価することが重要であった。そこ で私は評価システムの構築により、これまでに製作されたサンプルについて面一様性を確認 した。また2009 年11 月には、量子効率30% 以上をもつサンプルで初めてビームテストを行 い、検出光子数はこれまでのサンプルの1.3 倍にまで増加することが出来た。 第二の課題は、APD に対する放射線耐性である。BelleII 実験の10 年間で予想される放射 線量に対する耐性を検証するために、中性子とγ線の照射試験を行った。中性子照射による 一光子検出能力の悪化を招くノイズの増大は、半導体の厚さに依存すると予想出来る。厚さ の異なるAPD を用いた照射試験により、アバランシェ領域におけるP 層を薄くすることが 効果的であると実証した。そしてP 層の薄いHAPD を製作し、1 × 1012(neutron/cm2) 照射 後も十分な精度S/N~12 での一光子検出を確認した。γ線耐性は、10 数krad から検出器再 内層では100krad 程度必要である。5,10,30krad の照射量に対して、表面電流の測定により引 き起こされる現象を理解した。 以上より、量子効率の一様性を評価し、放射線耐性試験の結果より仕様を決定した。HAPD の大量生産を開始と、2014 年からBelleII 十年間でRICH の稼働が期待できる。
Fulltext: Download fulltextPDF;
142. Belle II 実験のためのAerogel-RICH 検出器プロトタイプの性能評価 / Satoe Tagai [BELLE2-MTHESIS-2021-044] Presented on 25 02 2011 MSc
2011
Toho Univ. / Funabashi
ビッグバン理論によれば宇宙が誕生したとき、粒子と反粒子は同時に作られたと考えら れているが現在の宇宙にはほぼ粒子しか存在していない。これには、粒子¢ 反粒子の「CP 対称性の破れ」という現象が起こっていることが関係している。 CP 対称性の破れを説明するために簡単なものに例えると鏡の中の世界である。鏡の中 では左右が反転する。しかし、その中で物理法則までは変わらない。このことを「対称性 がある」と呼んでいる。鏡に映すような変換の仕方を「P 変換」といい、素粒子の反応で 粒子と反粒子を置き換えても通常は、同じ反応が起きる。粒子と反粒子の変換を「C 変換」 という。C とP を同時に入れ替えても(CP 変換)物理法則は同じになると考えられてき たが、1964 年にクローニン、フィッチらがK 中間子の崩壊に関する実験からCP 対称性の 破れを発見した。 この対称性の破れの説明に成功したのが小林誠と益川敏英の2 人である。小林¢ 益川理 論では、当時クォークが3 種類しか知られていなかったが少なくとも6 種類あれば対称性 の破れを説明できるとした。これは現在の素粒子物理学における標準理論の基礎を築いた。 その功績を称えられ両者は2008 年にノーベル物理学賞を受賞した。そして、この小林・益 川理論を検証したのが、日本の高エネルギー加速器研究機構(KEK)で行われている「B ファクトリー実験」である。この実験は、1999 年に開始され、2001 年にB0 ! J=ªKs へ の崩壊過程においてCP 対称性の破れが観測されたが、小林¢ 益川理論の詳細な検証とさ らに標準理論を超える新しい物理の探索を展望に加速器及び検出器のアップグレード計画 が進行中である。運動量3.5 GeV の陽電子ビームと8 GeV の電子ビームを衝突させB 中間 子と反B 中間子のペアを大量に作り、それぞれの粒子の壊れ方を測定し、CP 対称性の破 れを発見していこうというものである。高エネルギー加速器研究機構のKEKB 加速器を用 いたBelle 実験は2010 年を持って終了し、現在、後継実験としてBelle II 実験が計画され ている。このBelle II 実験はBelle 実験より測定器の性能向上と共にさらに統計精度を上げ ることで、標準モデルを超える新しい物理を観測することを目的としている。  Belle II 実験では稀崩壊事象や崩壊前のB 中間子のフレーバーの同定のために、K 中間子と¼ 中間子の粒子識別が非常に重要である。Belle 検出器のAerogel Cherenkov Counter(ACC) は輻射体のAerogel から放出されるチェレンコフ光の有無で運動量1GeV/c 以上のK/¼ 粒子識別を行っている。しかし,Belle 検出器側面(Endcap 部) では2.0 GeV/c 以上の高運動量領域の粒子識別が不可能となっている。 そのため、Belle II 実験では新し いK/¼ 粒子識別検出器としてAerogel-Ring Imaging Cherenkov Counter(A-RICH) 検出器 の導入を計画しており、開発を進めている。 当研究室では、Belle 実験のACC グループに属し、検出器の精度向上のためのACC の アップグレードを行っていてA-RICH の開発をしている。ACC の識別運動量領域は0.5 »2.0 GeV/c となっていて高運動量領域の識別が不可能となっているが、A-RICH へアッ プグレードすることによって識別運動量領域を4.0 GeV/c まで上げることができる。ARICH は輻射体にAerogel,リングイメージを観測する光検出器にはHybrid Avalanche Photo Detector(HAPD),ASIC を用いた読み出し回路で構成される。HAPD はBelle 検出 器Endcap 部に設置するため,「十分な有感面積」,「位置分解能」,「単光子検出可能」,「1.5 T の磁場で動作可能」の要求を満たすデバイスとして開発され、4.9 mm£4.9 mm のAPD ピクセルを144 ch 持つ新型のマルチアノード型の光検出器である。 本研究では、A-RICH ビーム照射実験で使用するHAPD のサンプルの性能試験を行い、 ビーム照射実験への実用性を確認した。次にHAPD とASIC の統合試験としてA-RICH プ ロトタイプを製作し、運動量2 GeV/c の電子ビームによる照射実験を行いチェレンコフリ ングを観測した。ビーム照射実験ではBelle 検出器内設置を想定した配置や電子ビームの 入射角度,様々なタイプのAerogel を使用した場合と実用に向けた検出器の評価を行った。 本論文は,研究背景として小林¢ 益川理論やCP対称性について述べた後、Belle 実験,KEKB 加速器,Belle 測定器の構成について述べる。そして従来のACC と開発中の新型A-RICH 検出器の原理、そしてHAPD の性能試験、A-RICH プロトタイプのビーム照射実験とその 解析結果より得られた性能に関してまとめを行い、今後の展望と構成されている。
Fulltext: Download fulltextPDF;

Masters Theses : 252 records found   beginprevious133 - 142nextend  jump to record:
Interested in being notified about new results for this query?
Set up a personal email alert or subscribe to the RSS feed.