Thesis BELLE2-MTHESIS-2021-052

新型高性能光検出器(HAPD)読み出しのためのASICの開発

Takashi Nakagawa

2006
Tokyo Metropolitan University Hachioji

Abstract: B 中間子を用いCP 非保存現象を研究するBelle 実験では、B 中間子崩 壊から生ずるK 中間子とπ 中間子の識別が必要不可欠である。現在私が 属するBelle 実験サブグループであるACC (Aerogel Chrenkov Counter) グループでは、エアロジェルを用いた閾値型の光検出器を用いて高運動 量領域でのK 中間子とπ 中間子の識別を担当している。現在のBelle 測 定器におけるK/π 識別は他の測定器と情報を併せ、全事象を90 %以上の 確率でπ 中間子とK 中間子の分離が達成されている。しかし超対称性粒 子の様常等の新事象の検出には希崩壊現象の検出が不可欠であり、より 高い粒子識別能力が求められる。そこで、更なる粒子識別能力向上を目 標にACCグループでは検出器のアップグレードとしてA-RICH(Aerogel Ring Image Chrenkov Counter)検出器を採用することを計画している。 A-RICH 検出器は荷電粒子が輻射体であるエアロゲルを通過する際に 円錐状に放射されるChrenkov 光を位置分解能を持つ光検出器によって捉 え、検出器上の位置情報からChrenkov 光の放出角を再構成することで、 粒子識別を行うものである。A-RICH に使用される光検出器として「十分 な有効面積」「高い検出効率」「位置分解能」そしてBelle 検出器内に設置 するため「1.5 T の磁場中で動作可能」という条件が求められる。これら を満たすものは現在市販されているの光検出器では難しい。そこで我々 は高い透過率を有するエアロゲルの開発と平行し、新型光検出器の研究 開発を行っている。 我々は要求を満たす光検出器として、(株)浜松ホトニクスと共同で、 HAPD(Hybrid Avalanche Photo Detecter)と呼ばれる新形マルチアノー ド光検出器を共同開発している。現在試作されているHAPDは72×72mm2 (有効エリア59 × 59mm2 )の大きさを持ち12 × 12 のarray に分離され ている。そして1 台につき144 channels の出力を持ち、1 つの出力あたり 約80pF の検出器容量を持っている。 またBelle 検出器に設置される予定のA-RICH全体ではHAPD(144ch/HAPD) を700 台用いる。このとき信号読み出しは約10 万Channel となる。そこ でこれらの膨大な信号を処理するシステムが必要となってくる。このた め我々はHAPD 処理用の集積回路を開発した。 本論文では試作されたHAPD の評価及び、HAPD からの信号処理用集積 回路(ASIC:S03)の試作経緯と性能評価に関して報告する。

Note: Presented on 31 03 2006
Note: MSc

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 Record created 2021-06-29, last modified 2021-06-29


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