Home > Books, Theses & Reports > Theses > Belle IIエアロジェルRICHの実機へ向けた光検出器HAPDの性能改善と最終評価 |
Thesis | BELLE2-MTHESIS-2021-045 |
Miki Imamura
2011
Nagoya University
Nagoya
Abstract: 現在の素粒子物理学における喫緊の課題である新しい物理を含む崩壊事象の観測を目指し、 2014 年からBelleII 実験を開始する。本実験は高エネルギー加速器研究機構の電子・陽電子衝 突型加速器を用いて、B 中間子の稀崩壊事象の検出を行う。そこで非常に重要であるK/π粒 子識別を行うため、BelleII 検出器の前方Endcap 部分には、粒子識別装置であるエアロジェ ルRing Imaging Cherenkov(RICH) 検出器を実装する。RICH は、輻射体であるエアロゲル 内で放射されたチェレンコフ光を光検出器Hybrid Avalanche Photo Detector(HAPD) で再 構成して捉え粒子識別を行う。 RICH の粒子識別能力はHAPD の性能に大きく依存する。HAPD は真空管と半導体検出 器APD を合わせた構造をもつ。本論文では、実装に際して残された2 つの課題を具体化し 検証した。 第一の課題は、面全体に亘り十分な量子効率をもつHAPD の製作である。2011 年6 月に HAPD の大量生産を予定しており、量子効率の一様性を評価することが重要であった。そこ で私は評価システムの構築により、これまでに製作されたサンプルについて面一様性を確認 した。また2009 年11 月には、量子効率30% 以上をもつサンプルで初めてビームテストを行 い、検出光子数はこれまでのサンプルの1.3 倍にまで増加することが出来た。 第二の課題は、APD に対する放射線耐性である。BelleII 実験の10 年間で予想される放射 線量に対する耐性を検証するために、中性子とγ線の照射試験を行った。中性子照射による 一光子検出能力の悪化を招くノイズの増大は、半導体の厚さに依存すると予想出来る。厚さ の異なるAPD を用いた照射試験により、アバランシェ領域におけるP 層を薄くすることが 効果的であると実証した。そしてP 層の薄いHAPD を製作し、1 × 1012(neutron/cm2) 照射 後も十分な精度S/N~12 での一光子検出を確認した。γ線耐性は、10 数krad から検出器再 内層では100krad 程度必要である。5,10,30krad の照射量に対して、表面電流の測定により引 き起こされる現象を理解した。 以上より、量子効率の一様性を評価し、放射線耐性試験の結果より仕様を決定した。HAPD の大量生産を開始と、2014 年からBelleII 十年間でRICH の稼働が期待できる。
Note: Presented on 24 01 2011
Note: MSc
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