000002494 001__ 2494
000002494 005__ 20210629035009.0
000002494 037__ $$aBELLE2-MTHESIS-2021-040
000002494 041__ $$ajp
000002494 100__ $$aMasahiro Higuchi
000002494 245__ $$aBelle II実験に向けた粒子識別装置用光検出器HAPDの放射線耐性評価
000002494 260__ $$aNoda$$bTokyo Univ. of Science$$c2013
000002494 300__ $$amult. p
000002494 500__ $$aPresented on 06 02 2013
000002494 502__ $$aMSc$$bNoda, Tokyo Univ. of Science$$c2013
000002494 520__ $$a素粒子物理学の分野ではその根本をなす標準模型(Standard Model) の詳細な検証,および標準模型を超え る物理事象の観測を目指して世界各地で実験が行われている。その一つであるBelle 実験は小林・益川理論に より記述される自発的なCP 対称性の破れが起きる事を証明するために茨城県つくば市にある高エネルギー加 速器研究機構で1998 年から開始された。Belle 実験は電子・陽電子非対称エネルギー衝突型円形加速器KEKB により大量にB・反B 中間子を生成し,その崩壊事象をBelle 検出器により観測するという実験であった。結 果として2001 年の夏,B0 ! J/ψK0 S の崩壊過程においてCP 非対称度は標準模型から予測される値と極めて よく一致した。こうしてCP 対称性の破れが小林・益川理論により数学的に矛盾なく記述できることが示され, Belle 実験は2010 年6 月に終了を迎えた。また,新物理への感度が期待される稀崩壊も発見されるがBelle 実 験における統計精度では精密測定が困難であった。そこで小林・益川理論の詳細検証や稀崩壊の精密測定を行 い,標準模型を超える新物理探索を目指すBelle II 実験が2015 年より開始される予定である。 Belle II 実験で特に重要なB 中間子のフレーバー同定の為にはK 中間子とπ 中間子の識別が必要となる。 Belle 実験ではこの識別のためにAerogel Cherenkov Counter(ACC) と呼ばれる閾値型Cherenkov 光検出器 が開発された。endcap 部のACC では運動量領域0.5~2.0 GeV/c でのK/π 識別を可能としていた。Belle I I 実験のendcap 部においてこの役割を担うのがAerogel Ring Imaging Cherenkov counter(A-RICH) である。 A-RICH へのアップグレードによりendcap 部でのK/π 粒子識別可能な運動量領域は0.5~4.0 GeV/c まで広 がる。A-RICH では荷電粒子が輻射体を通過する際に発生させるCherenkov 光をリングイメージとして検出 し,そのリング半径から輻射角度を測定する。輻射体の屈折率がわかっていれば別の検出器で測定した運動量 とA-RICH で測定した輻射角度を用いて粒子質量の決定,すなわち粒子識別が可能となる。輻射体にはエア ロゲル,リングイメージ検出用の光検出器にはマルチアノード型Hybrid Avalanche Photo Detector(HAPD), 読み出し回路にはASIC とFPGA を用いる。 HAPD は2002 年から浜松ホトニクス(株) と共同開発を行っており,真空管と4.9 4.9 mm2 のAvalanche Photo Diode(APD)144 チャンネルから成る多段増幅型の光検出器である。HAPD に求められる性能は「十分 な有効面積」「55 mm2 以下の位置分解能」「単光子検出」「1.5 T の磁場中での動作」「放射線耐性」である。 現在,特に問題となっているのは放射線耐性である。Belle II 実験10 年間の運用を想定した場合のガンマ線の 積算線量は1,000 Gy,中性子線は10 1011 neutrons/cm2 と予想されているため,これらの積算線量に耐性 を持ったHAPD が必要となる。 中性子線に関しては,過去の研究でHAPD 内APD のP 層を薄くし,読み出し回路のshaping time を最適 化することで耐性が向上すると報告された。 ガンマ線に関しては本来APD が受ける影響は表面的なものでありアバランシェ増幅領域を通らないため,増 幅利得の低下やノイズ増加といったS/N に関わる部分には大きく作用しないと考えられてきた。しかし実際に ガンマ線照射試験を行うとHAPD は強い影響を受け,通常のAPD による研究では理解できない急激な電流増 加が起こった。これは半導体部分ではなく,HAPD 製造に必要とされるAPD 表面の絶縁膜層によるものであ ることが判明した。そこで私はこのAPD 表面の各絶縁膜のガンマ線耐性の違いを調査し,主原因となる絶縁 膜を特定することでガンマ線耐性をもつHAPD への改良に成功した。 またHAPD として初となる中性子線+ガンマ線の複合的な照射を行なうことでAPD への作用がそれぞれの 放射線で独立であることを確認し,中性子線とガンマ線の両方に耐性を持つHAPD の最終仕様決定に至った。 本論文ではこれら中性子線・ガンマ線耐性試験結果を中心に報告する。
000002494 8560_ $$fshohei.nishida@kek.jp
000002494 8564_ $$uhttps://docs.belle2.org/record/2494/files/BELLE2-MTHESIS-2021-040.pdf
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