Thesis BELLE2-MTHESIS-2021-034

Belle II 実験ARICH 用光検出器のためのモニターシステムの開発

Koki Hataya

2017
Tokyo Metropolitan University Hachioji

Abstract: Belle II 実験は茨城県つくば市にある高エネルギー加速器研究機構(KEK) にて建設中である電 子・陽電子衝突型加速器SuperKEKB を用いた大規模素粒子実験で2018 年開始予定である。現 在までに理解されている標準理論を超えた物理で予言される新粒子を直接生成してその性質を調 べるエネルギーフロンティア実験に対し、Belle II 実験はB 中間子などの稀崩壊を大量に観測す ることにより間接的に新物理を探索するルミノシティフロンティア実験と呼ばれ、ここでは新物 理の寄与は標準模型との「差異」として現れると考えられる。前身のBelle 実験では新物理探索 に不十分であった稀崩壊事象の統計量をBelle II 実験では50 倍の統計量と共に測定器の精度向 上によって、この「差異」を観測することを主な目的としている。 Belle II 実験の種測定器であるBelle II 測定器は各役割に応じた複数の副検出器から成る汎用 測定器であり、その中でEndcap 部と呼ばれる領域での粒子識別(主に荷電K 中間子と荷電 中 間子) を担う装置がAerogel Ring Imaging Cherenkov 検出器(ARICH) である。前身のBelle 測定器では粒子識別装置として閾値型Cherenkov 検出器であるAerogel Cherenkov Counter (ACC) が搭載されたが、Endcap 部におけるACC では3 分離性能での粒子識別可能な運動量 の上限が2 GeV=c までであったのに対し、ARICH では4 以上での粒子識別を3:5 GeV=c まで 拡張することを目標として開発している。ARICH は輻射体であるシリカエアロゲル、光検出器 としてマルチアノード型HAPD (Hybrid Avalanche Photo Detector)、その信号読み出し用電 子回路で構成される。Cherenkov 光の放射角が粒子の種類(質量) とその運動量、輻射体屈折率 から決定できることを利用して粒子識別を行い、荷電粒子がシリカエアロゲルを通過した際に円 錐状に放射されるCherenkov 光を多数のHAPD で2次元リングイメージとして観測することで Cherenkov 光の放射角を測定する。 ARICH では144-ch マルチアノード型HAPD を420 台使用するため、総チャンネル数は約6 万チャンネルに上る。全チャンネルの応答の有無や検出効率などの動作状態はリングイメージの 観測精度に深く影響するため、ARICH の性能を維持する上で全チャンネルの定期的な動作確認が 不可欠となる。そこでLED 光をシリカエアロゲルによって乱反射させてHAPD に照射し、その 応答を定期的に調べることでHAPD のモニタリングを行なうシステムの開発を行なった。 本研究では、まずモニターシステムの試作機を構築しHAPD 全チャンネルの生死判定、ノイ ズレベル、増幅率といった基本性能を長期的に監視可能であることを示した。また、建設中の ARICH 実機の一部にモニターシステムを実装し、組み上げたシステムの健全性の確認と各種設 定値の調整を行なった。本論文では、主題であるモニターシステム試作機での動作検証と実機を 用いた性能評価について述べると共に、2016 年夏より開始した宇宙線を用いたARICH 本体の性 能評価試験についても記述する。

Note: Presented on 10 01 2017
Note: MSc

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 Record created 2021-06-29, last modified 2021-06-29


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