Thesis BELLE2-MTHESIS-2021-029

Belle II実験ARICH検出器アップグレードに向けた光検出器MPPCの研究

Kentaro Kuze

2020
Tokyo Metropolitan University Hachioji

Abstract: Belle II 実験は、SuperKEKB 加速器を用いて7GeV の電子ビームと4GeV の陽電子ビームを衝突させ、大量に生成されるB 中間子の崩壊過程をBelle II 測定器で精密に測定することで、標準模型を超える新物理を見つけることを目的とした実験である。Belle II 測定器に組み込まれているARICH 検出器は、輻射体シリカエアロゲルと光検出器HAPD (Hybrid Avalanche Photo-Detector) で構成されたリングイメージ型チェレンコフ検出器で、Belle II 測定器エンドキャップ部においてK/ 中間子の粒子識別を行っている。HAPD は高電圧(8kV) を印加した真空管内にピクセル化されたAPD(Avalanche Photo Diode) が内蔵された構造をしており、O(104) の増倍率を持つ。しかしHAPDは既に生産が終了したため、現在ARICH で使用しているHAPD が想定を上回る放射線損傷を起こした場合、予備が十分でなくなる可能性がある。また高電圧を印加する必要があるため、放電の危険性もある。現在、今後のARICHアップグレードに向けて新たに光検出器の候補選定しており、浜松ホトニクス(株) 製の光検出器MPPC(Multi-Pixel Photon Counter) を候補の一つとして考えている。MPPCはガイガーモードで動作するAPDを並列に多数内蔵し、各APDは入射光子数に依らず印加電圧に応じた一定の出力信号を出す。そのため、多数のAPD が並列に内蔵されたMPPC では入射した光子数を計測できる。現在ARICH に最適なMPPCを選別するためにいくつかの種類のMPPCの評価を行っており、高ダークカウントレート、低放射線耐性などの課題解決に向けて開発を進めている。本研究では、リーク電流の印加電圧依存性、ダークカウントレート、信号波高の印加電圧依存性、信号波形、波高分布の5 項目について測定環境の構築を行った。特にリーク電流の印加電圧依存性、ダークカウントレートに関しては測定の自動化に取り組んだ。また、各測定結果からMPPC サンプル間で大きく特性が変わることを確認した。

Note: Presented on 10 01 2020
Note: MSc

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 Record created 2021-06-28, last modified 2021-06-28


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