Thesis BELLE2-MTHESIS-2021-026

Belle II 実験のための光検出器HAPDを用いた ARICH検出器の性能評価

Hayato Kitamura

2020
Toho Univ. Funabashi

Abstract: Belle II 実験は標準理論を越えた新物理探索を目的とする素粒子物理学実験である。高エネルギー加速器研究機構KEK のSuperKEKB 加速器を用いて電子・陽電子対をそれぞれ7GeV/c と4GeV/c まで加速し、衝突によりB・反B中間子対を大量に生成する。それらが崩壊して出てくる素粒子をBelle II 検出器によって精密測定し、B 中間子の崩壊過程や崩壊時間を測定する。崩壊過程の測定では崩壊後の粒子識別が非常に重要であり、特に荷電K 中間子と荷電 中間子は様々な物理解析において精度の高い識別が要求されており、実験の精度に大きく影響する。ARICH検出器はBelle II 検出器エンドキャップ部においてK= 識別を担うリングイメージ型のチェレンコフ検出器である。ARICH 検出器は輻射体シリカエアロゲルと光検出器HAPD の2 層から構成されている。荷電粒子が輻射体を通過した際に粒子の種類ご とに定まった角度で放射されるチェレンコフ光を光検出器により精密に測定し、その位置情報からチェレンコフ光放射角度を算出し、粒子の種類を同定する。したがって、ARICH 検出器の粒子識別ではチェレンコフ角度分解能が識別性能を示す一つの指標となる。Belle II 実験からの要求は運動量0.5~3.5GeV/c において4sigma の精度でK pi 識別をすることであり、これから要求される角度分解能は7.5mrad 以上である。本研究では 2018 年度における検出器の調整などを目的として行われたPhase2 運転、および2019年度から開始された物理解析用データ取得を目的としたPhase3 運転で得られたビーム衝突データを用いて、チェレンコフ角度分解能の評価を行った。Bhabha イベント(e+e- -> e+e-) およびmu対生成イベント(e+e- -> mu+mu-) によるチェレンコフ角度分布を作成し、分布からチェレンコフ角度分解能を算出する。Phase2 では検出器の温度上昇のために部分的にしか稼働していなかったが、Phase3 以降は全領域で稼働している。そのため、本研究がBelle II 実験本番のセットアップで行われたARICH 検出器のはじめての性能評価である。Phase3 運転時現在のARICH 検出器のチェレンコフ角度分解能は、Bhabha イベントにおいて4.7 +- 0.1mrad、mu対生成イベントにおいて4.6+-0.1mrad であり、要求性能を満たしていることが確認された。一方でPhase2 では検出光子数がシミュレーションと比較して27.7+-2.7%少なかった。その要因に対して、量子効率の光検出器HAPD 光電面に対する光子入射角度依存性と各チャネルの1 光子検出効率の2 つの観点から評価を行った。評価結果からPhase2 における検出光子数の減少は後者が要因であり、Phase2 における1 光子検出効率は76.5+-4.6%であった。Phase3 では閾値電圧の設定変更などにより最適化され、Phase2 よりも検出光子数が増えた。Phase3 運転時現在における1 光子検出効率について再び評価を行い、検出効率91.6+-4.7%を得た。

Note: Presented on 12 03 2020
Note: MSc

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 Record created 2021-06-28, last modified 2021-06-28


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