Thesis BELLE2-MTHESIS-2021-024

Belle II ARICH 検出器のアップグレードに向けた光検出器MPPC の研究 (Studies on MPPC photosensor for the upgrade of the Belle II ARICH detector)

Kosuke Furui

2021
University of Tokyo Tokyo

Abstract: 高エネルギー加速器研究機構(KEK) で行われているBelle II 実験は、SuperKEKB 加速器によって加速された7[GeV] の電子ビームと4[GeV] の陽電子ビームとを衝突させ、大量に生成されるB 中間子の崩壊過程を崩壊点を囲むように設置されたBelle II 測定器によって精密に測定を行うことによって標準模型を超えるような新物理の探索を目的とした実験である。Belle II 測定器は7 つの検出器から構成されており、中でもARICH(Aerogel Ring Imaging Cherenkov) 検出器はフォワードエンドキャップ部に位置し荷電K/π中間子の識別を担う。ARICH 検出器は前段に設置されたエアロゲル輻射体と後段に設置された光検出器HAPD(Hybrid Avalanche Photo-Detector) から構成され、エアロゲル輻射体に入射した荷電粒子から放射されたチェレンコフ光を光検出器によって二次元リングイメージとしてとらえ、このリングイメージの半径差から粒子識別を行う。ARICH 検出器における光検出器としてHAPD は現在十分な性能を発揮しているが、HAPD は既に生産が終了しており今後ルミノシティの向上に伴うビームバックグラウンドの増加により想定外の故障を起こす可能性がある。そこで現在、ARICH 検出器アップグレードに向けて新しい光検出器の選定を行っており、その候補の一つとして考えているのが近年、放射線耐性の向上が期待されている浜松ホトニクス(株) 製の光検出器MPPC(Multi-Pixel Photon Counter) である。ARICH 検出器における光検出器としてMPPC を使用する上での利点としては、高い光子検出効率や取り扱いの容易さが挙げられる。対して、問題点として高いダークカウントレート及び低放射線耐性が考えられる。そこで、本研究ではMPPC を想定したシミュレーションにより高いダークカウントレート、高PDE 下でのARICH 検出器にける識別性能の評価を行った。また、MPPC サンプルに対して中性子照射試験を実施し前世代、最新世代サンプルにおける放射線耐性を評価した。そして、これらの結果からBelle II 実験10 年間でのMPPC の使用実現可能性の見積もりを行った。

Note: Presented on 20 01 2021
Note: MSc

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 Record created 2021-06-28, last modified 2021-06-28


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