Thesis BELLE2-MTHESIS-2021-014

Study on the upgrade of Cherenkov ring imaging TOP detector using high photon detection efficiency SiPM. (in Japanese)

Kokoro Maehara

2021
Nagoya university Nagoya

Abstract: Belle II実験は2031年までに50 ab−1の統計量を貯めることを目指して現在運転中である。しかしそれと並行して目標統計量に到達した後の更なるアップグレード計画も検討され始めている。この計画では瞬間ルミノシティを4×1036cm−2s−1にまで増強し、250 ab−1もの大統計量を取得することで新物理探索や標準理論の精密測定を更に推し進めることを目標としている。一方でルミノシティの増強に伴って検出器はより高い放射線環境での運転を要求される。現行のTOPカウンターに導入されている光検出器Micro Channel Plate(MCP) -PMTは積算出力電荷の増加に伴って量子効率が低下するため、Belle II実験で50 ab−1の統計量を貯める頃にはその大部分は交換が必要となる。このまま更なる高輝度化が行われると実験期間中に何度も光検出器を交換する必要が生まれてしまう。そこで我々は新たな光検出器として検出光子量に伴う劣化の無いSilicon Photomultiplier (SiPM)に着目した。SiPMはMCP-PMTに比べて光子検出効率(PDE: Photon Detection Efficiency)が高いため、検出光子数の増加によりTOPカウンターの粒子識別性能の向上が期待できる。一方粒子識別性能の肝である1光子検出の時間分解能(TTS: Transit Time Spread)はMCP-PMTに比べて悪い。そこで私はチャンネルサイズの異なる2つのSiPMについてTTSを実際に測定した。1つは3 mm×3 mmであり、−56.9 Vの電圧を印加したとき、1光子検出におけるTTSは77±1 psであった。もう1つは6 mm×6 mmであり、印加電圧−57.8 VのときTTSは137±2 psであった。これらの測定は室温で行ったが、SiPMの大きな懸念として中性子による放射線損傷の影響でダークカウントの増加等が起きてしまうことが挙げられる。そこで低温で運用することでこの増加を抑えられないか検討中である。これを見据えて私は−20°CにおけるTTSも測定した。その結果3 mm×3 mmでは74.7±0.4 ps、6 mm×6 mmでは113±1 psであった。これを踏まえて私は、SiPMのPDEとTTSを用いて粒子識別性能のシミュレーションを行った。まずPDEのみ変更し、粒子識別性能は10 %向上することを示した。ここで粒子識別性能はπ/K識別においてπの識別率が90 %の時のKの誤識別率で定義している。更にバックグラウンド(BG)レートを40 MHz/chまで増やして同様にシミュレーションを行った結果、PDEの向上はBG耐性の向上にも繋がることを示した。続いて私は−20°Cでの測定結果を基にTTSも変更して同様に粒子識別性能を評価した。その結果、図1のとおり3 mm×3 mm、6 mm×6 mmともにPDEのみ変更した性能と同様の高い性能を示した。

Note: Presented on 15 02 2021
Note: MSc

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 Record created 2021-06-25, last modified 2021-06-25



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