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Thesis | BELLE2-MTHESIS-2019-009 |
Hikaru Hirata
2019
Nagoya university
Nagoya
Abstract: 近年、重いクォークを含むバリオンやエキゾチックハドロンの候補が数多く発見されており、 チャームバリオンにおけるダイクォーク描像の検証やエキゾチックハドロンの内部構造を理解する ことはハドロン内部のクォーク束縛に関する新たな知見となる。X(3872) はエキゾチックハドロ ンの候補の一つであり、内部構造は未解明である。私はこのX(3872) の性質を網羅し、内部構造 を複眼的に検証できるようX(3872) の崩壊幅を測定する。 X(3872) の崩壊幅は非常に小さく、Belle 実験によりその上限は1.2 MeVと決定されている。Belle II 実験は電子陽電子衝突型B ファクトリー実験であり、先行研究の約50 倍のB 中間子事象のデー タを取得予定である。したがって本実験では、先行研究で使用されていたX(3872) ! J= + 崩壊より、信号事象数は少ないものの質量分解能が良いX(3872) ! D0 D 00 崩壊を用いて感度を 向上させることができる。私は本実験環境下でX(3872) ! D0 D 00 崩壊をシミュレーションし、 X(3872) の崩壊幅の統計的な感度を見積もった。その結果、本測定は先行研究と比較して信号事 象数は半分程度であるが、質量分解能は約3 倍良いことを明らかにし、本実験で収集予定の全デー タ(50 ab 1 ) を用いれば崩壊幅の上限値を約180 keV まで向上させられる可能性があることを示 した(図1)。 ただし、本実験は立ち上げ段階であり、ハドロン分光の研究を遂行するためには、初期衝突デー タを用いて測定器の性能を理解しなければならない。したがって本研究では、崩壊幅測定に重要な 質量分解能とチャームバリオン分光に重要な陽子識別性能を実データを用いて評価した。質量分解 能の評価では、D0 中間子の荷電粒子のみで再構成できる崩壊過程を用いた。その結果、実データ での質量分解能はシミュレーションのものよりも約10%程度悪いことがわかった。また、陽子識別 性能評価では、 バリオンの再構成・選別方法と陽子識別効率・誤識別率を導出する手法をシミュ レーションを用いて開発し、それらが真の値を2%の精度で再現できることを示した。この手法 を用いて実データを解析した結果、実データとシミュレーションでは誤識別率は一致しているのに 対し、陽子識別効率の運動量依存性に違いがあることがわかった(図2)。 本研究で行なった性能評価結果を飛跡検出器や粒子識別装置の較正へと役立たせ、性能評価と較 正を繰り返すことで性能を十分に発揮させることが可能である。さらに、本研究によりこれらの性 能が十分に発揮できれば、本実験で世界初となる有意なX(3872) の崩壊幅測定といったハドロン 分光が実現可能となる。
Note: Presented on 14 02 2019
Note: MSc
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