Belle II実験Aerogel-RICHにおける読み出しシステムの開発

Sumitted to PubDB: 2021-06-29

Category: Master Thesis, Visibility: Public

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Authors
Non-Belle II authors Hideyuki Takagaki
Date Jan. 1, 2012
Belle II Number BELLE2-MTHESIS-2021-043
Abstract Belle II 実験とはB 中間子の稀崩壊を精密に観測することによって,新しい物理の 効果を観測することを目的とした実験である。  Belle II 検出器のEndcap 部の粒子識別装置Aerogel Ring Imaging Cherenkov Counter(A-RICH) は4 GeV までの運動量を持つK 中間子と! 中間子を4 " の精 度で識別を行うことを目指している。A-RICH はCherenkov 光を輻射体であるシリカ エアロゲルで発生させ,光検出器であるHybrid Avalanche Photo Detector(HAPD) を用いてCherenkov 光のリングイメージを捉えることで粒子識別を行う装置である。  我々はA-RICH の読み出しシステムに用いるためのフロントエンド部における読み 出し用ASIC「SA シリーズ」を開発している。これまで,SA シリーズは2nd version であるSA02 において基本的な要求性能を満たすことを確認してきた。  しかし,HAPD が実験中に中性子損傷を受け,リーク電流の増加に伴いノイズ増 加が予想されるため,読み出し用ASIC のShaping time を最適値に設定することで 読み出し時のノイズ量を最小限に抑える必要があると考え,Shaping time を最適化 したSA03 を開発した。  また,SA02 ではASIC の増幅率など各種パラメーターの読み込みを破壊読み出し 方式で行なっていた。この方式ではパラメータを読み出す際に,再度同一のパラメー タをレジスタに書き込むまでの時間がデッドタイムになってしまう。そのため,SA03 ではパラメータ設定方式を非破壊読み出し方式に変更した。  これらの機能の確認のため,シミュレーションにより動作検証を行った後,SA03 を試作し,その性能評価を行った。その結果,Shaping time の最適値への設定,お よび非破壊読み出し機能を確認し,要求性能を満たしていることを確認した。そし て,SA03 のプロトタイプであるSA02 にBelle II 実験10 年間行った際に飛来すると 予想される放射線を照射し,前後でノイズ量を比較し,Belle II 実験10 年分の放射 線耐性を確認した。また,SA03 を大量生産した際にこれらを迅速にテストするため の性能評価用ボードを開発した。そして,SA02 を搭載した読み出し用ボードの性能 評価を行い,必要な機能を確認した。  このように本研究によりA-RICH のフロントエンド部の読み出しシステムの開発 を進展させた。
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